不動産売却時の境界確定方法は?越境物リスクや対策も解説

売却


不動産を売却しようと考えたとき、見過ごされがちなのが「境界確定」と「越境物」の問題です。これらが曖昧なままでは、売却後に大きなトラブルにつながることも珍しくありません。境界がはっきりしていない土地は安心して売買できず、買主から敬遠される原因にもなります。この記事では、不動産売却時の境界確定の重要性や方法、越境物がある場合の具体的な対応策、スケジュールや費用の目安まで、分かりやすく解説します。

境界確定が不動産売却にもたらす重要性(越境物のリスクへの対応を含む)

不動産売却において、「境界確定」は買主との信頼関係を築き、売却後のトラブルを未然に防ぐために極めて重要です。境界線が曖昧なままでは、売買後に隣地との境界紛争が発生する可能性があり、売主が契約不適合責任を問われるリスクも高まります。このため、境界を専門家の測量によって明確にしておくことは、安全な取引の第一歩です。境界線を明示することで、買主が安心して検討できる環境が整います。

特に、建物や塀、樹木の枝などが隣地に越えている「越境物」がある場合は、事前にその状況を確認し、買主に伝える義務があります。越境物が隠れた状態で売却すると、後から買主に契約解除や損害賠償請求をされる可能性があるため、越境の有無を測量によって把握し、必要に応じて隣地所有者との合意書(覚書や越境使用承諾書)を作成しておくことがリスク回避の観点から重要です。

境界確定のメリットを分かりやすく整理した表をご覧ください。

対応内容 期待される効果 備考
確定測量の実施 境界が明確になり、売却後の争いを防止 土地家屋調査士による測量が必要です
越境の有無確認と説明 買主に安心感を提供し、契約トラブルを回避 説明義務違反による責任追及を防げます
覚書・承諾書の作成 越境状態を将来にわたって明確に管理 書面での合意が後の紛争防止につながります

このように、境界確定と越境物への対応は、売主自身を守るだけでなく、買主にも安心感を提供する重要なプロセスです。円滑な売却を進めるためにも、信頼できる専門家と連携して進めることをおすすめいたします。

境界確定測量と公簿売買の手法と違い

不動産売却において、「境界確定測量」と「公簿売買」は境界・面積を確定する手法として、それぞれ異なる特徴を持ちます。

まず、境界確定測量とは、土地家屋調査士が登記簿や公図、地積測量図などを法務局や役所で調査し、現地で測量を行い仮杭を設置したうえで、隣地所有者の立会いや合意を得て、正式な境界を確定する手法です。境界確定図や筆界確認書を作成し、署名捺印を経て登記されることで、法的にも信頼性の高い境界と面積が確定します。そのため安心・安全な取引の基礎となります。

一方、公簿売買とは、登記簿に記載された面積を契約の基準とし、実際の測量結果が異なっても売買代金に反映せず、金額の精算を行わない取引形式です。測量にかかる時間・費用が削減でき、特に山林や広大地で用いられる傾向があります。

以下は、両者の違いをわかりやすく整理した表です。

項目境界確定測量公簿売買
境界・面積の確定現地測量と立会いにより正確に確定登記簿上の面積をそのまま使用
メリット境界トラブル防止、登記上の信頼性ありコスト・時間を節約できる
デメリット測量費用や関係者との対応が必要実測と異なる場合、後のトラブルリスクも

越境物などがある場合、境界が不明瞭でトラブルのリスクが高くなります。そのような場合には、公簿売買では問題が見逃されたり売却後に紛争に発展する可能性があります。そのため、安心して売却を進めたい場合には、境界確定測量を優先的に検討するのが適切です。ですます調を交えて説明しました。

越境物がある場合の境界確定ステップ

売却を検討している土地に越境物がある場合、まずは隣地所有者との話し合いを通して所有権界の確認を行います。現地で越境の状況を共有し、境界線の位置を立会いのもとで確認したうえで、境界標を設置します。この際、双方の合意を明文化した「境界確認書」や「越境の覚書」を作成・保管することで、将来的なトラブルの予防に繋がります。

次に、道路や私道を含む公共用地との越境がある場合には、道路境界の明示や行政との調整が必要となることがあります。このようなケースでは、確定測量を専門家である土地家屋調査士に依頼し、確定測量図を作成することが望ましいです。行政との境界が未確定の場合には調整が長期化しやすいため、時間と手間を見越して売却スケジュールに余裕を持たせておくことが肝要です。

話し合いによる解決が難航し、隣地所有者との合意が得られない場合には、公的制度や法的手段の活用を検討します。「筆界特定制度」は法務局による筆界(筆界=筆と筆の境界)の特定手続きで、申請から結果が出るまでに概ね六か月程度かかりますが、比較的迅速な対応が可能です。一方、確実な法的効力を得たい場合には「境界確定訴訟」があり、裁判所の判断に基づく境界確定を行えますが、解決までには一〜二年以上の期間と高額な費用が必要となるため、十分に検討してください。

以下に、越境物がある場合の主な対応ステップを表形式で示します。

ステップ 内容 備考
1. 隣地所有者との話し合い 現地立会い・境界確認・境界確認書/覚書の作成 将来のトラブル防止に有効です
2. 道路・私道との調整 行政や土地家屋調査士との協議・確定測量図の取得 公的境界の未確定時には時間を要します
3. 公的手続き・法的措置の検討 筆界特定制度/境界確定訴訟の利用 期間・費用・法的拘束力に差があります

売却を進める際のスケジュールとコストの目安

不動産を売却する際、特に越境物の対応を含めた境界確定にかかる期間と費用について、信頼できる情報に基づいてご案内します。

まず、確定測量(境界確定測量)は、測量士または土地家屋調査士に依頼するのが通例です。現況測量(境界確認なし)の場合は約10~20万円が目安ですが、正式な境界確定を行う場合には35~80万円ほどかかります。行政の立ち会いが必要な官民境界を含む場合は、60~80万円が相場となります。状況によっては100万円を超えることもあるため、十分な準備が必要です。

次に、スケジュールの目安は通常3~4ヶ月程度です。隣地所有者との立ち合いや行政との調整が必要な場合には、さらに時間を要する可能性があります。中には1年以上かかるケースもあり、余裕を持った計画が求められます。

以下の表は、内容を分かりやすくまとめたものです。

項目 内容 目安
測量の種類 現況測量/確定測量(官民立ち合い含む) 現況:10~20万
確定:35~80万
官民含む:60~80万以上
必要期間 依頼から境界確定まで 通常:3~4ヶ月
状況により1年以上
追加負担がかかるケース 越境物対応、公有地接面、隣地所有者多数 費用・期間ともに増加

最後に、越境物がある場合を見据えた販売戦略として、測量と境界確定を済ませた上で販売活動を進めることをおすすめします。時間とコストの見込みを自社計画に盛り込むことで、買主に安心感を与えながら、円滑に取引を進めることができます。

まとめ

不動産を売却する際には、境界確定が欠かせない工程です。特に越境物が存在する場合、そのままにしておくと大きなトラブルへ発展しかねません。境界確定測量を行い、隣地との境界を明確にすることで、後々の争いを未然に防ぐことができます。公簿売買などの手法もありますが、状況に応じて最適な対応策を選択し、必要な費用や期間をしっかりと把握しておくことが大切です。安全で円滑な不動産売却を成功させるために、早めの準備と的確な情報収集を心がけましょう。

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